6月16日、富山市議会で富山市郊外に出没する猿について質問しました。

里山整備や電気柵への補助などの猿対策について
富山市郊外の大沢野や大山地域では、ここ数年、集落に頻繁に猿が出没するようになり、時には40頭くらいの群れが来るそうです。猿の群れが、奥山から伸びる河岸段丘に沿って里へと移動し、集落の家庭菜園の野菜などを餌にして繁殖していると考えられます。
猿倉山から延びる河岸段丘(かがんだんきゅう:川に向かって階段状になっている地形)に沿うように大沢野中学校への通学路があるのですが、怖くて外出できない、収穫直前の家庭菜園の野菜を食べつくされた、など、安心して生活できなくなっているという声を聞きました。
なお、富山市の河岸段丘は、神通川の浸食などによって削られてできたもので、階段状になった斜面部分は長年放置されたために野生動物の生息に適した密林と化しています。県の調査によりますと、河岸段丘に遊びに来る程度だった猿たちが3年ほど前から住み着き、人里のすぐ近くで生まれ育った猿もいるそうです。
猿が移動できるということは、クマも同じで、今後秋にかけて人身被害が起こることも懸念されます。
猿問題の根底にも人口減少や高齢化、過疎化など、時代の変化があると考えます。人と自然とのバランスが崩れ、中山間地に暮らす人の生活が脅かされている状況は、一朝一夕では変わりません。地域に住む人たちが知恵を出し合い、自然と対峙していくために、市が先導役となっていただければと思います。
問1 見通しが良く、野生生物の生息に適さない場所へ。富山市の河岸段丘整備については、県の水と緑の森づくり事業の里山再生整備事業を活用し、3年前から取り組まれているということですが、現在、どのような状況にあるのか、また、今後の見通しをお聞かせください。
回答 農林水産部長:ニホンザルやツキノワグマなどの野生動物が人里に出没する要因の一つに、集落近隣の里山の荒廃により、雑木や竹林等が生い茂り、隠れ場所や移動経路になることが挙げられます。
本市には、大沢野地域に南北に長く伸びる河岸段丘があり、雑木等が広がることでニホンザルの住処にもなりやすく、この河岸段丘を行動域とする新たな群れが、富山県ニホンザル管理計画に位置づけられたところであります。これまでに、大沢野地域の松野地区など3地区で河岸段丘の整備を実施し、今年度も新たに小黒地区を追加する予定としております。
これらの事業は、地域住民から要望があった里山林の整備を市が行い、住民の方がその後の維持管理を行う、市と市民との共同で取り組む事業になります。今後も市民に協力を呼びかけながら、引き続き河岸段丘での里山林整備を推進してまいりたいと思っております。
問2 猿の対策としては捕獲や駆除に注目しがちですが、いくら捕獲しても環境が変わらなければ、次の群れが、餌が豊富で繁殖しやすい人里にやってくることになるでしょう。県のニホンザル管理計画は「生息環境の管理」「被害防除」「個体群管理」の3つの軸で取り組む必要があるとしています。富山市のそれぞれの今後の対策プランをお聞かせください。
回答 農林水産部長:本市のニホンザルの被害対策につきましては、ご紹介になりました「環境管理対策」「被害防除対策」「捕獲対策」の3つの対策に取り組んできたところであります。
まず、「環境管理対策」では、里山林整備に加え、畑の未収穫の野菜をなくすことの徹底などを、これまで市ホームページの他、チラシの配布や出前講座等で注意喚起してきたところであり、今後も様々な機会を捉えて、環境管理の重要性を周知してまいりたいと考えております。
次に、「被害防除対策」では、地域ぐるみで行う農地への電気柵の設置や、追い払い活動について、これまで電気柵や電動エアガンなどの機材の導入支援を実施してきたところであり、毎年一定の要望があることから、今後も継続してまいりたいと考えております。
また、「捕獲対策」では、県の管理計画に基づく捕獲を、毎年、上限数いっぱいまで行ってきたところではありますが、今後は加害群除去も含めた捕獲の強化を図ってまいりたいと考えております。
ニホンザル被害の軽減には、これらの3つの対策を総合的に組み合わせることが不可欠であることから、今後も市民の方に、地域ぐるみでの継続的な活動を呼びかけながら、引き続きニホンザルの被害対策に取り組んでまいりたいと考えております。
問3 また、商業用ではない畑が多く点在する地域に猿が出没している現状は、農作物を守るということよりも、猿に餌を与えない、という点で、家庭菜園への電気柵の設置も重要な対策と考えます。家庭菜園の電気柵も補助金対象にできないものでしょうか。
回答 農林水産部長:本市では、農家の方が、ニホンザルの農地への侵入防止対策として、電気柵を導入される場合、要件や地域の実情に合わせ、国や県の事業、市の単独事業で支援を行っております。事業の要件につきましては、出荷作物を対象としている他、地域ぐるみの取り組みとして、原則、集落や生産組合からの申請を対象としてきたところではありますが、令和4年度からは市の単独事業において、出荷作物を栽培する一連の農地の中に家庭菜園が含まれる場合も支援対象とするなど、要件を緩和してきたところであります。
電気柵は、家庭菜園に限らず、個々で設置しても効果が限定的なことから、集落単位など、地域ぐるみで設置することが効果的であるとされております。このことから、家庭菜園のみを対象とした電気柵の支援につきましては現在のところ考えておりませんが、ニホンザルが住宅地付近で頻繁に出没するようになった本市の現状を鑑み、今後は他都市の事例等について調査・研究をしてまいりたいと考えております。